事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代における新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編という思い切った事業再構築をする中小企業等への支援を目的とするものです。 

事業再構築補助金HP ⇒ https://jigyou-saikouchiku.go.jp/#c1

はじめに

今回、第3回の公募申請(令和3年9月21日〆切済み)をしましたので、そのときの内容をまとめたいと思います。

第4回、第5回と今後も続く予定となっております(公募要領に少し変更があるかとは思いますが)ので、以後の公募要領もしっかりと確認していきたいですね。

 

まず、本補助金の申請は、電子申請のみ受け付けておりますので、最初にGBizIDプライムアカウントの取得が必要となります。

必要なものとしては、印鑑証明書(発行日より3ヶ月以内)の原本とログイン時にSMSを受信できる携帯電話となります。

また、GBizIDプライムの取得申請から取得までに3週間ほどかかることがありますので、お早めに申請をすることが必要です。

GBizIDプライム申請書作成HP ⇒ https://gbiz-id.go.jp/app/rep/reg/apply/show

事業類型別の概要

通常枠

大規模賃金引上枠

卒業枠

グローバルV字回復枠

緊急事態宣言特別枠

最低賃金枠

基本要件

まず、基本となる以下の要件をクリアしていき、そこから各事業類型の要件に合致するかの確認が必要となります。

事業再構築要件

新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」、「事業再編」の以下のいずれかの類型に該当することが必要です。(製品等の新規性要件、市場の新規性要件、売上高10%要件(新たな製品等の売上高が総売上高の10%以上)を満たす計画が必要)

新分野展開」は、主たる業種(日本標準産業分類に基づく大分類の産業)又は主たる事業(日本標準産業分類に基づく中分類以下の産業)を変更することなく、新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、新たな市場に進出することをいう。

事業転換」は、新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することをいう。

業種転換」は、新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することをいう。

業態転換」は、製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更することをいう。

事業再編」は、合併、分割、株式交換、株式移転、事業譲渡等を行い新たな事業形態のもと、「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」のいずれかを行うことをいう。

売上高等減少要件:①②両方必須

①2020年4月から9月までのうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年から2020年3月までの同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少
②2020年10月から2021年3月までのうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年から2020年3月までの同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少

(または、以下でも申請可能:①②両方必須)
①2020年4月から9月までのうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年から2020年3月までの同3か月の合計付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)と比較して15%以上減少
②2020年10月から2021年3月までのうち、任意の3か月の合計付加価値額が、2019年から2020年3月の同3か月の合計売上高と比較して7.5%以上減少

認定支援機関要件

認定経営革新等支援機関と相談のうえ、事業計画書を策定し、「認定経営革新等支援機関による確認書」を提出することが必要です。(補助金額3,000万円を超える事業計画の場合、「金融機関による確認書」の提出も必要)

付加価値額要件

付加価値額は、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。

各事業類型の枠ごとに目標数値があるので、申請をする枠ごとの目標値を超える必要があります。

通常枠の要件

①事業再構築要件
②売上高減少要件
③認定支援機関要件
④付加価値額要件(補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画であること)

大規模賃金引上枠の要件

①事業再構築要件
②売上高減少要件
③認定支援機関要件
④付加価値額要件(補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画であること)
⑤賃金引上要件(補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること)
⑥従業員増員要件(補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること)

卒業枠の要件

①事業再構築要件
②売上高減少要件
③認定支援機関要件
④付加価値額要件(補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画であること)
⑤事業再編等要件(事業計画期間内に、事業再編、新規設備投資、グローバル展開のいずれかにより、資本金又は従業員を増やし「補助対象事業者」に定める中小企業者等の定義から外れ、中堅・大企業等に成長すること)

グローバルV字回復枠の要件

①事業再構築要件
②売上高減少要件(2020年4月から9月までのうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年から2020年3月までの同3か月の合計売上高と比較して15%以上減少し、2020年10月から2021年3月までのうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年から2020年3月までの同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少)
③認定支援機関要件
④付加価値額要件(補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加する見込みの事業計画であること)
⑤グローバル展開要件(グローバル展開を果たす事業であること)

緊急事態宣言特別枠の要件

①事業再構築要件
②売上高減少要件
③認定支援機関要件
④付加価値額要件
⑤宣言による売上高等減少要件(緊急事態宣言による影響で、令和3年1月から8月のいずれかの月の売上が2020年又は2019年同月比で30%以上減少している、又は付加価値額が45%以上減少していること)

最低賃金枠の要件

①事業再構築要件
②売上高減少要件
③認定支援機関要件
④付加価値額要件
⑤最賃売上高減少要件(2020年4月以降のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上減少している、又は付加価値額が45%以上減少している)
⑥最低賃金要件(2020年10月から2021年6月までの間で、3か月以上最低賃金プラス30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること)

事業計画書作成

上記の要件をクリアしていて、いざ申請に進むためには、本補助金の趣旨に合致した事業計画を策定することが必要です。

事業再構築要件である5つの類型について、事業再構築指針との関連性を意識しながらしっかりと順序立てて作成していきます。

流れとしては、事業概要、SWOT分析、現在の事業環境、事業再構築の必要性、事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等、型番や商品名、取得予定価格等)、事業再構築要件の取組と効果と将来展望、補助事業終了時からの3~5年の収益計画、資金調達計画、具体的スケジュールなどを、図や写真などを使用してA4サイズ15枚以内に作成します。

サラッと書きましたが、補助金申請においてはこの事業計画書が全てであります。

この事業計画書を審査員に分かりやすく、説得力のある内容で作り込まなければなりません。

そのため、時間をじっくりかけて審査員を納得させられる事業計画書を作成しましょう。

必要書類等

  • 事業計画書(最大15ページ、補助金額1,500万円以下は10ページ以内だが、これを超えるページ数でも審査対象となる)
  • 認定経営革新等支援機関による確認書(補助金額3,000万円を超える事業計画書は「金融機関による確認書」も必要)
  • ミラサポplus「電子申請サポート」の事業財務情報(事前にミラサポplusで確定申告書を参照しながら打ち込みを済ませること)
  • 申請に用いる任意の3か月の比較対象となる、コロナ以前(2019年から2020年3月まで)の同3か月の売上が分かる確定申告書第一表控え
  • 上記確定申告書の月別売上が分かる所得税青色申告決算書の控え(両面)※法人の場合は法人事業概況説明書(両面)、白色の場合は売上台帳
  • 受信通知(e-Taxの場合)
  • 申請に用いる任意の3か月(2020年又は2021年)の売上が分かる確定申告書第一表の控え
  • 上記確定申告書の月別売上が分かる所得税青色申告決算書の控え(両面)※法人の場合は法人事業概況説明書(両面)、白色の場合は売上台帳


※確定申告が済んでいない場合は、該当月の売上が分かる売上台帳(任意の3か月の月に下線を引くこと)
※その他、各事業類型ごとに必要書類や加点項目がありますので手引きを参照

おわりに

事業計画書が作成でき、必要書類が全て揃った状態で、いざ電子申請をしようとすると思わぬところでつまずくことがあります。

ファイル名は確認したか?ここの項目はこのファイルでいいのか?ミラサポplusからデータを抜き出せない・数値入力が多くて確認しながらだと時間が掛かるなどなど。

十分な時間を掛けて事業計画書を作成しながらも、電子申請も並行して打ち込めるところは打ち込みを進めていった方が安心です。

しっかりと、事前に計画を練り上げ、第4回と第5回の申請に臨みましょう!