新たな販路開拓や業務効率化に対する取組を支援する小規模事業者持続化補助金では、2023年3月からの小規模事業者持続化補助金でインボイス制度に対応した免税事業者に対して、補助金額50万円を上乗せした最大250万円となるインボイス特例というものが創設されました。
そこで、今回は小規模事業者持続化補助金の概要とお薦めの申請について記述していきます。
対象となる事業者
対象となる事業者は、個人事業主や株式会社や合同会社などの営利法人、一定の要件を満たしたNPO法人となります。
いずれも小規模事業者に限られ、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)において常時使用する従業員数が5人以下、宿泊業・娯楽業は20人以下、製造業その他においても同じく20人以下であることが要件になっています。
この常時使用する従業員に含まれないのは、以下となります。
- 会社役員や個人事業主本人
- 同居の親族従業員
- (申請時点で)育児休業中・介護休業中・傷病休業中又は休職中の社員
- 従業員のうち2か月以内の期間を定めて雇用される者や、季節的業務に4か月以内の期間を定めて雇用される者
- フルタイムの従業員と比べて1日又は1週間の労働時間及び1か月の所定労働日数が3/4以下のパートタイム労働者などとなります。
申請類型について
本補助金を申請する際には申請類型を選択する必要があり、下図のように通常枠、特別枠として賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠の計5つの枠から選択をしていきます。
通常枠は、インボイス特例と合わせて最大100万円となりその他の枠においては最大250万円の補助金を受け取ることができます。
補助率は、全ての枠で2/3となり、賃金引上げ枠では赤字事業者は補助率が3/4となります。
【通常枠】
通常枠は、補助上限額が50万円ですが、他の枠で申請をしますと補助上限額が200万円と4倍になりますので、是非とも通常枠以外を狙うことをお薦めいたします。
さらに、前述のとおりインボイス特例というものがあり、2021年9月30日から2023年9月30日に属する課税期間で一度でも免税事業者であった事業者が、適格請求書発行事業者の登録を受け課税事業者となった場合には、この補助上限額に50万円が上乗せされます。
そのため、通常枠で申請を考えられている事業者で期間内に課税事業者に転換している場合には、補助上限額が100万円となります。
【賃金引上げ枠】
こちらは、事業場内最低賃金が申請時の地域別最低賃金よりも30円以上にすることが要件となります。
ただし、既に地域別最低賃金より30円以上を達成している場合には、現在支給している事業場内最低賃金より30円以上の賃金引上げが必要となります。
また、赤字事業者においては補助率が2/3から3/4へと引き上げられ、さらに政策加点が与えられるため採択率が上昇します。
もっとも、申請時点において従業員のいない事業者は賃金引上げ枠での申請はできませんのでご注意ください。
【卒業枠】
次に、卒業枠は常時使用する従業員の数が、補助事業実施期間中に小規模事業者としての従業員数の枠を超える事業者が対象となります。
そのため、既に従業員を増やす計画をされ、小規模事業者としての人数を超える予定の事業者の方にお薦めの枠となっております。
【後継者支援枠】
次に、後継者支援枠は将来的に事業承継を行う予定があり、経済産業省が開催する「アトツギ甲子園」のファイナリスト及び準ファイナリストになることが要件となります。
そのため、既にアトツギ甲子園で結果を残している事業者であればこちらの枠で申請することが可能となりますが、それ以外の方がこの枠で申請するにはハードルがかなり高くなっております。
【創業枠】
最後に、創業枠は3年以内に開業をした事業者で、公募締切時から3年以内(第13回受付締切日が2023年9月7日のため、2020年9月7日~2023年9月7日まで)に認定市区町村が行う特定創業支援等事業による支援を受けていることが要件となります。
この特定創業支援等事業を受けるためには各自治体の創業セミナーに参加することが必要となり、週1回程のセミナーを1か月から1か月半受講をしなければなりません。
既に創業セミナーを受講済み(上記期間内)で開業から3年経っていない事業者の方にお薦めとなっています。
ちなみに、当事務所も特定創業支援等事業(西東京市)を受けたことがあり、創業するに当たっての実務的なセミナーはいい経験になりました。
また、同じ受講生であった地域の事業者の方とも未だに交流が続いておりますので、新しく創業を考えられている方には人脈作りの場としてもいい機会であると考えます。
対象経費について
本補助金は、小規模事業者が取り組む販路開拓の取組の経費の一部を補助するものです。
以下に表をまとめました。
本補助金を申請しようとする多くの方は、広報費(パンフレットやポスター等)で申請することを考えられているかと思われますが、機械装置費やウェブサイト関連費での申請が可能です。
機械装置等費では、販路開拓に繋がる新サービスや新商品の開発提供のための設備導入に必要な機械装置が対象になります。
具体的には、以下のようなものが対象となり得ます。
- 生産販売拡大のためのオーブンや冷凍冷蔵庫の導入
- 移動式シャンプーユニットと移動式リクライニングチェアによる出張サービスの導入
- 新しいエクササイズメニュー開発による器具(レッドコード)の導入
- 炭酸ヘッドスパ装置を導入し新しいメニューの開発
- 既存のミシンでは使用できなかった高耐久性の糸が使用できる工業用ミシンの導入
広報費は、上記、機械装置等費と共に、新サービスや新商品の広報としてのチラシやポスターなどの作成発送費、看板の作成設置費が対象となります。
もっとも、単に会社の事業案内をする目的の広報費は対象となりません。
ウェブサイト関連費は、ウェブサイトやECサイト等の構築、更新、改修、開発、運用のための経費が対象です。
新商品のパンフレット、ホームページ(ランディングページ)の制作と、そこに誘導するWEB広告(リスティング広告)などが対象となります。
もっとも、注意しなければならないことは、ウェブサイト関連費は補助金交付申請額の1/4が補助上限額(最大50万円)となり、ウェブサイト関連費のみで申請することはできません。
他には、展示会等出展費、旅費、新商品の試作開発に伴う開発費、資料購入費、補助事業期間に臨時的に雇い入れたアルバイト代の雑役務費、借料、設備処分費、店舗改装による工事費用やデザインの外注などの委託・外注費があります。
その他、具体的な事例としては、以下となります。
- フードプリンターを導入し、そのプリンターを使用した商品をPRするためのポスターやチラシの作成発送、それに伴ったウェブサイトの作成や更新
- 倉庫として使用している場所を改装して、カフェスペースの新設とコーヒーマシンの導入による販路開拓、自身で作成して使用していたパッケージデザインを、新たにデザイン会社へ外注することにより自社のブランド化を図り販路開拓を行うこと
以上のように、新たな取り組みにより販路開拓を行うことが補助対象となり得ますので、幅広く活用ができる補助金となっております。
注意点について
次に注意点についてです。
上記にあるとおり、本補助金は新たな取り組みにより販路開拓を行うことが補助対象であるため、単に既存の設備を新しい設備に買い替えるだけでは本補助金の対象外となりますのでお気を付けください。
また、1件あたり100万円超(税込)を要するものや、中古品については、2者以上からの相見積が必要となります。
さらに、ウェブサイト関連費のみでは申請することができず、補助金額は補助金交付申請額の1/4までで補助上限額は50万円となります。
申請方法については、商工会(https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/index.html)又は商工会議所(https://r3.jizokukahojokin.info/)のどちらの管轄地域で事業を営んでいるかによって経営計画書と補助事業計画書(様式2、3)の提出先が変わっていきます。
商工会又は商工会議所から事業支援計画書(様式4)の作成・交付を受ける都合上、提出締切は本補助金締切よりも早いタイミングとなりますので、早めに商工会又は商工会議所へ連絡を取りましょう。
また、本申請はgBizIDプライムを使用した電子申請と郵送における申請の2つの方法がありますが、郵送で申請を行った事業者に対しては減点対象となりますので、採択率を少しでも下げないよう電子申請で申請しましょう。
おわりに
現在公募されている本補助金は、対象期間において免税事業者から課税事業者へ転換した事業者におきましては、インボイス特例により補助金額が最大250万円となり、従来の補助金額よりも優遇されたものとなっています。
是非この機会に、新たな取り組みを行い販路開拓への挑戦をしてみてはいかがでしょうか。
当事務所では、補助金申請のサポートを行っております。
初回無料相談となりますので、是非ともご利用くださいませ。
⇒ お問い合わせ
- 投稿タグ
- 小規模事業者持続化補助金, 補助金