遺産分割協議書とは、被相続人(故人)の残した遺産を相続人間で分配する方法を記したものとなります。
また、銀行で被相続人の預貯金を解約するときや、不動産の売却などをする場合には、遺産分割協議書が必要となってきます。
そこで、今回は遺産分割協議書の作成方法から無効にならない方法をまとめていきたいと思います。
また、よろしければ過去のブログ内容も伴わせてご覧ください。
相続手続きにおける相続財産目録の作成について

相続財産のまとめ方

まず、被相続人の遺産を誰がどのように相続するかを記さなければ、遺産分割が客観的になされているかを判断できません。
そのため、遺産分割協議書にはしっかりと誰がどの遺産を相続するかを記すことが必要となります。
以下では、遺産の内容によって特定するうえで必要な内容をまとめてみたいと思います。

預貯金や有価証券について

金融機関又は証券会社名』『支店名』『種類』『口座番号』『金額や株式数』を記載して、被相続人のどの遺産かを確定します。
また、一つの預金口座から複数人に相続をさせる場合には、配分方法(1/2、1/3や金額による指定)を記載する必要があります。

不動産

不動産に関しては、土地と建物が該当します。
土地は『所在』『地番』『地目及び地積
建物は『所在』『家屋番号』『種類及び構造』『床面積及び持分』を記載します。
それぞれ、法務局から登記事項証明書(現在事項全部証明書)を取得して内容を確認しましょう。

自動車

自動車においては、基本的に動産の扱いとなりますが、登録制をとっていることから特定が可能となるため、車検証を確認し、しっかりと内容を記載することが必要です。
記載内容としては『自動車登録番号又は車両番号』『車名』『車体番号』となります。

債務

債務については、契約書などを確認して『債権者』『種類』『品目』『発生年月日及び弁済期日』『金額』などを記載しましょう。
個人間の契約においては、特に契約書関係がないかを確認して、しっかりと事実関係を確認しましょう。

その他

他には、『手元現金』『家財道具その他の動産で被相続人の所有に係る一切の物』『葬式費用の支払債務』『被相続人が支払うべきすべての債務』などを記載するとよろしいでしょう。
また、葬式費用については、被相続人の遺産から支払われるべきものと考えられますので、遺産分割協議書には記載をするべきかと思われます。

署名捺印について

相続財産の分け方を決めましたら、末尾に相続人全員の署名捺印をします。
これがなければ、しっかりと遺産分割協議がなされたと客観的に確認ができません。
また、全員の署名捺印の上部には署名捺印をした『日付』を記載しましょう。
そして内容としては、『住所』『名前』『実印』となります。
ここで実印としたのは、相続手続きにおいて遺産分割協議書と共に相続人全員の印鑑証明書の提示が必要となります。
そのため、印鑑登録をした印鑑での捺印が必須となり、もし印鑑登録をされていないようでしたら、まずは印鑑登録をしなければなりません。

綴じ方について

さて、ここまでまとまりましたら、遺産分割協議書としてしっかりと作成しましょう。
まず表題には『遺産分割協議書』と記載しましょう。
他には『被相続人の氏名及び死亡日』『本籍』『住所』を記載します。
その次に、遺産分割協議が成立した旨の文言を入れて、上記の相続財産についての分配方法を記載しましょう。
また、遺産分割協議書が一枚で収まりきらない場合には、ホチキスで留めて契印が必要となります。
契印とは、ページを見開いた状態で、ページとページを跨ぐように印鑑を押すことです。
これにより、この遺産分割協議書が真正なるものであり、ページを抜かれたり付け足されたものではないと証明することができるからです。
そのため、相続人全員の契印が必要となります。
もし、製本テープを使用するようでしたら、製本テープと遺産分割協議書に跨ぐように一回だけ契印を押せばそれで完成となります。

まとめ

遺産分割協議書は、どの遺産を、誰が、どのくらい相続するかをしっかりと特定する必要があります。
この特定ができなければ、相続手続きができないこととなり無効な遺産分割協議書となってしまいます。
また、署名捺印やしっかりとした契印がなければ、こちらも相続手続きができなくなってしまいます。
このような事態が生じないためにも、細心の注意を払う必要があります。
また、相続財産の確認や相続人とのやり取り、遺産分割協議書の作成などには手間と時間が掛かってしまいます。
相続手続きまで含めると数箇月以上も掛かってしまいます。
そのため、相続が発生した際には我々のような士業にご依頼されることも視野に入れていただければと思います。