法人を設立したいと思ったときに、株式会社にするべきなのか合同会社にするべきなのか悩まれる方はとても多いかと思います。

それか、法人といえば株式会社だろ!と想像される方も、いらっしゃるかもしれません。

しかし、合同会社の方がお客様の業態などからご自身の法人化に向いていることがよくあります。

創業の相談時にも株式会社がいいのか合同会社いいのかご質問をお受けするので、ここでは株式会社と合同会社の違いについてまとめてみたいと思います。

株式会社とは

株式会社とは、細分化された株式を社員(株主)が有し、株主は株式引受価額を限度とする有限責任を負うもので、また、所有と経営の分離がなされ、株主(所有者)が取締役や執行役(経営者)を委任するという形がとられる会社です。

簡単に言うと、出資者としての株主は、出資額の限度で責任を負う会社の所有者で、取締役や執行役は株主から委任された経営者となり事業を遂行するものとなります。

もっとも、日本の大半の中小企業は非公開会社(株式譲渡制限)であり、さらには一人会社の経営も多く、その場合には株主=代表取締役となることがあり、所有と経営が一致することとなります。

他方、公開会社(その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。会社法第2条5号)では、外部からの出資を募ることができ事業の拡大が望めます。

もっとも、株式の持株比率というものがあり、過半数以上の株式を有すれば取締役の選任などを単独で行えるので、実質会社の支配権を有することになり、さらに2/3以上の株式を保有することによって、株主総会特別決議を単独で可決することができますので、自身が設立した会社の支配権を奪われないようにするためには持株比率を考える必要があります。

また、株式会社は上場をすることができ、株式の発行による資金調達が可能な点がメリットとなり、さらに組織としての信用度については合同会社よりも高いといえます。

 

合同会社とは

合同会社は、株式会社と同じく有限責任会社であり、出資者全員が社員となり代表権を有します。

また、社員には任期はありません。

出資方法は金銭のみですが、出資額に関わらず全員が同じ権限を有することが可能です。

例えば、出資額は多いが経営手腕がないAと、出資額は少ないが経営手腕があるBの2名が社員となったとします。

経営においてBが中心となって売り上げを伸ばしていき、Aはそれに付いていくだけでした。

ここで、株式会社でいえば、出資額により利益の配分が決まるため、売り上げを伸ばしたBよりも出資額が多いAの方に多く利益が分配されてしまいます。

しかし、合同会社においては出資比率は関係なく利益の配分を決めることができるため、Bに利益を還元することができます。

また、合同会社は、設立費用が安いことがメリットとして一番にあがるかと思います。

株式会社ですと、定款認証5万円+登録免許税15万円+謄本代約2000円+登記事項証明書600円+印鑑証明書450円が掛かります。

しかし、合同会社では登録免許税6万円+登記事項証明書600円+印鑑証明書450円のみで設立が可能となります。

その差は、約14万円もあります。

さらに、合同会社においては毎年の決算公告が不要であるためコストを抑えることができます。

もう一つ、合同会社は意思決定がスピーディーに行われることが特徴です。

株式会社のように株主総会を開くことを要せず、個々の意思で決定できます。

もっとも、業務執行社員による社員総会を開くことを定款に定めることで、しっかりとした意思決定機関を定めることも可能です。

上記のように、合同会社においては定款内容について自由に決めることができるため、株式会社よりもより自由な会社設計が可能となります。

しかし、株式会社のように公証人による定款の認証がない分、合同会社の定款作成には細心の注意が必要となります。

 

代表的な合同会社

意外と思われる大企業でも合同会社として登記されています。

・Amazon Japan

・Apple Japan

・西友

・DMM

・Google

・IHG・ANA・ホテルズグループジャパン

・デロイト トーマツコーポレートソリューション

・ユニバーサルミュージック

など。

 

まとめ

上記のように、株式会社と合同会社にはそれぞれの特徴があります。

まとめると以下のようになります。

 

一般的に、合同会社に向いていると言われているのが、飲食業・サ-ビス業・小売業など、BtoBよりもBtoCに向いていると言われております。

このように、株式会社にするべきなのか、合同会社にするべきなのかはそれぞれのメリットやデメリットをよく考えて決めていくことが大事です。

 

当事務所では、法人設立のお手伝いをさせていただいております。

是非ともご利用くださいませ。