印紙税とは、文書にかかる税金であり、収入印紙を貼付することによって納めるものです。

この文書については、国税庁印紙税額一覧表に記載があります。

収入印紙については、郵便局やコンビニなどで購入ができ、文書の作成者が、印紙と文書に跨るように消印を押すこととなっております。

契約において、同一の契約書を2通用意をし、署名や捺印をすることが取引上多いですが、この場合には2通とも収入印紙を貼付しなければなりません。

なぜかというと、印紙税は課税文書であるに対して課税されるため、収入印紙が2通分必要となってきます。

そのため、契約書のコピーを控え用として相手方に渡す分には、収入印紙は必要ではありませんが、そのコピーに署名捺印がされてしまうと、課税文書とみなされて収入印紙の貼付が必要となります。

この点、電磁的記録による契約書、いわゆるPDFファイルや電子メールの文書ですと非課税のため印紙税の節約が可能となります。



私たちがよく目にする課税文書といえば、第17号の 『売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書』かと思います。

いわゆる領収書が該当します。

下図は、第17号の印紙税額の抜粋です。

記載金額 税額
5万円未満のもの 非課税
5万円以上100万円以下のもの 200円
100万円を超え200万円以下のもの 400円
200万円を超え300万円以下のもの 600円
300万円を超え500万円以下のもの 1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの 2,000円
10億円以上 20万円

5万円以上の買い物をするときには印紙税が掛かります。

また、上記第17号ですと、5万円未満は非課税となりますが、

例えば【税込51,840円】については印紙税が200円掛かりますが、【本体48,000円消費税及び地方消費税3,840円】などと区分表示がされている場合には、非課税となります。

これは、印紙税法では記載金額について消費税が区分表示されていれば、その消費税については含まれないとされています。

ただし、単に【消費税及び地方消費税8%を含む】という記載では区分表示とみなされないので、具体的な【消費税及び地方消費税3,840円を含む】と記載をしてあることが必要です。



他には、プロスポーツ選手や芸能関係の仕事をされるときに締結される契約書にも印紙税が掛かってきます。

これは、第2号『請負に関する契約書』に該当します。

もっとも、印紙税が掛かるかどうかは、契約書の表題だけを見て決まるのではなく、実質的な中身を見て、課税対象となるかを判断します。

ちなみに、『請負』か『委任』かの判断は、個々の内容を確認し、具体的な成果物(プログラミング開発やHP制作、建設業関係、成果物を求められるコンサルティング、特定の曲の演奏や演劇の上映など)の対価として報酬が支払われるものは『請負』となります。

一方、『委任』は『請負』とは異なり、具体的な成果物を提供しない場合となります。

そのため、契約内容を確認することで『請負』か『委任』の判断をし、『請負契約』であった場合には収入印紙の貼付が必要となります(1万円未満なら印紙貼付は不要)。



もし、収入印紙を貼付し忘れると印紙税法違反として脱税となり、本来の印紙税額の3倍の金額が過怠税として課されますので、契約書や領収書の発行については気を付けなければなりません。

ちなみに、行政書士が発行する領収書は、印紙税法第5条第1項の非課税文書における「営業に関しない受取書」(基通第17号文書の25及び26)で非課税と定められているため、収入印紙は不要となります。
また、行政書士が行う業務は委任契約であるため収入印紙は不要ではありますが、内容が第2号に該当する『請負』であったり、第7号『継続的取引の基本となる契約書』に該当する場合には収入印紙が必要となります。
この第7号『継続的取引の基本となる契約書』とは、特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書のうち、売買取引基本契約書や貨物運送基本契約書、下請基本契約書などで、営業者間で継続して取引を行うために締結された契約書をいいます。
もっとも、契約期間が3か月以内であり、かつ、更新の定めのないものはこれに該当しません。
また、記載金額がある契約は第2号に該当しますので、注意が必要です(記載金額とは、月額〇〇円の記載だけではなく、契約期間が記載されることが必要)。