創業助成金とは

創業助成金とは、公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する、創業者が策定した事業計画に対して創業初期に必要となる経費を助成するものです。
対象経費についてはPCや家賃なども含まれ、上限額は400万円(下限額100万円)、助成率は2/3と、とても汎用性が高い助成金となります。
ここでは、「令和6年度 第2回創業助成事業」の募集要項を基にまとめていきます。

申請要件

  1. 主たる事業所が都内に実在し、実質的に事業が行われていること
  2. 個人事業主や法人の代表者として、通算5年以上の経営経験がないこと
    ※ 創業前の個人は、交付決定後に速やかに開業をすること
  3. みなし大企業や個人開業医に該当しないこと
  4. 創業支援事業を利用していること(以下①~⑯いずれかに該当していること)
    ①TOKYO創業 ステーション「プランコンサルティング」又はTOKYO創業ステーションTAMA「プランコンサルティング」による事業計画書策定支援を終了し、過去3か年の期間内に証明を受けた方
    ②「東京シニアビジネスグランプリ」において、前年度以前の過去3か年度の期間内にファイナリストまで進んだ方 
    ③「事業可能性評価事業」において、当年度、又はその前年度以前の過去3か年度の期間内に「事業の可能性あり」と評価され、継続的支援を受けている方
    ④「若手商人育成事業」における「商店街開業プログラム(商店街起業促進サポート事業)」を当年度、または前年度以前の過去3か年度の期間内に受講修了した方
    ⑤東京都・公社などが設置した創業支援施設に入居している方、又は以前に入居していた方
    ⑥青山スタートアップアクセラレーションセンターにおいて、アクセラレーションプログラムを受講している方、または以前に受講していた方
    ⑦東京都が実施する「TOKYO STARTUP GATEWAY」において、前年度以前の 過去3か年度の期間内にセミファイナリストまで進んだ方
    ⑧東京都が実施する「東京都女性ベンチャー成長促進事業(APT Women)」において、国内プログラム(アクセラレーションプログラム)を受講している方、または以前に受講していた方
    ⑨東京都が実施する「女性・若者・シニア創業サポート事業」、「女性・若者・シニア創業サポート事業2.0」において、取扱金融機関から当該事業に係る融資を受け、その証明を受けた方
    ⑩東京都中小企業制度融資(創業融資)を利用している方 
    ⑪都内区市町村が実施する、中小企業制度融資のうち、創業者を対象とした東京信用保証協会の保証付き制度融資を利用している方 
    ⑫東京都が出資する、ベンチャー企業向けファンドからの出資等を受けている方 
    ⑬政策金融機関の資本性劣後ローン(創業)を利用している方
    ⑭産業競争力強化法に規定する認定特定創業支援等事業により支援を受け、過去3か年の期間内に都内区市町村長の証明を受けた方 
    ⑮東京商工会議所、東京信用保証協会、東京都商工会連合会、中小企業大学校東京校BusiNestより認定特定創業支援等事業に準ずる支援を受け、過去3か年の期間内にその証明を受けた方
    ⑯東京都が実施する「高校生起業家養成プログラム(起業スタートダッシュ)」において、過去3か年度の期間内に「養成講座」を修了した方
  5. 同一の事業計画で他の助成金や補助金を受けていないこと

 

以上のように、申請要件が細かく設定されており、特に「4. 創業支援事業を利用していること(以下①~⑯いずれかに該当していること)」は、すぐに証明を受けることが難しいものです。
私見ではありますが、比較的、労力が少なく証明書発効まで手間が掛からないのは、私は⑭又は⑮の証明を受けることだと考えています。
実際に私も⑭の特定創業支援事業を受講し(約1か月で5回の講義)、証明書を交付していただきました。
ちなみに、私は西東京市の創業スクールを受講しましたが(現在行われているもの ⇒ http://www.nishitokyo-sougyou.net/seminar/63)、受講地は都内であればどこでもいいため、スケジュールの調整ができるところの創業スクールで受講をすれば大丈夫です。
「特定創業支援事業」と検索を掛けて、自身のスケジュールにあった創業スクールを受講することをお薦めします。

助成対象経費

①賃借料
 助成事業に必要な不動産(事務所、店舗、駐車場等)の賃借料、共益費、事務所等で使用する器具備品等のリース・レンタル料

②広告費
 販路開拓のためのホームページ作成、広告掲載、パンフレット等作成、展示会出展、試供品・見本品作成等に関する経費

③器具備品購入費(1点当たり税込み1万円以上50万円未満)
 事務所や店舗で利用するPC、コピー機、机、エアコン(ダクトを使用しない簡易なもの)等、単体で機能を果たす器具備品の購入費(配送費や組立・据付費用も対象)

④産業財産権出願・導入費
 助成事業に必要な国内外の特許権、実用新案権、意匠権、商標権の出願、他の事業者からの譲渡、又は実施許諾(ライセンス料を含む)に要する経費

⑤専門家指導費
 外部専門家等に相談して助言・指導を受ける際、手数料として支払われる経費 

⑥従業員人件費(上限額:月額35万円。パート・アルバイトは1人につき日額8,000円)
 雇用契約を締結した従業員に対する給与(基本給)及び、パート・アルバイト従業員に対する賃金。(交付決定日より前に雇用した方も含む)

⑦市場調査・分析費
 外部専門業者等に対して委託し、委託費として支払われる経費

上記、経費は①~⑤は「事業費」、⑥が「従業員人件費」、⑦が「委託費」に分類され、事業費と従業員人件費の助成金申請額の上限は300万円、委託費の助成金申請額の上限は100万円となります。
また、「従業員人件費のみ」、「委託費のみ」、「従業員人件費及び委託費のみ」では申請することはできません。

必要書類

  • 創業助成事業申請前確認書(指定様式)
  • 創業助成事業申請書(指定様式、全ページ)
  • 直近2期分の確定申告書等(法人の場合)
  • 履歴事項全部証明書(法人の場合、発行後3か月以内)
  • 所得税の確定申告書等(個人の場合)
  • 個人事業の開業・廃業等届出書(個人の場合と法人なりした場合の法人)
  • 申請要件確認書類(募集要項の74ページから参照)
    参照 ⇒ 募集要項

スケジュールについて

募集期間:令和6年9月25日から10月4日 ⇐ 申請期間が短いので注意!

書類審査結果通知:11月下旬頃

面接審査:12月18日から12月25日 ⇐ 代表者自身で行う必要があります。

交付決定・採択通知:令和7年3月上旬頃

事業完了日:交付決定日から6か月以上2年が経過する日までの間

実績報告・検査:助成対象期間終了後

採択率

年度 令和元年 令和2年 令和3年 令和4年 令和5年
申請者数 808 1,037 1,140 1,210 1,060
採択者数 152 156 157 162 157
採択率 18.8% 15.0% 13.8% 13.4% 14.8%

おわりに

創業助成金は、事業のスタートアップ時に活用ができる汎用性の高い助成金となりますが、細かい要件が設定されています。
特に、「4. 創業支援事業を利用していること(以下①~⑯いずれかに該当していること)」については、すぐに証明書が発行されるものではないため、事前の準備が必要です。
また、申請要件をクリアしても、現在の創業助成金の採択率は15%程と狭き門になっております。
事業計画の内容を充実させ、事業計画書にしっかりと落とし込めるかが、ライバルに差をつけられるかのカギとなります。
また、助成金や補助金は後払いであるため、交付決定後にどれだけ素早く動けるかで入金までの期間が変わってきます。
本業の傍ら、このような事務作業が必要となるため負担が掛かって来ますが、とても魅力的な助成金であり、申請できるのが経営経験5年未満の事業者に限られているので、是非ともチャレンジしてみてはいかがでしょうか。