
アーツカウンシル東京が公募を行う、スタートアップ助成を簡単に解説していきます。
本助成金は、東京の芸術シーンで活動を展開していこうとする新進の芸術家や芸術団体等がチャレンジする新たな芸術創造活動を助成することを目的として、東京都内又は海外で実施される公演、展示、アートプロジェクト、国際フェスティバルへの参加、国際コラボレーション等を対象とし、若い才能が今後の芸術活動への地歩を築くためのスタートアップを後押しするものです。
事業実施期間
対象となる事業実施期間は、2025年9月1日から2026年8月31日の間。 この期間内に開始・終了するプロジェクトであれば、国内外で実施する創造的な事業が対象となります。
申請資格
個人の場合
- 現状の実績
過去3年間に、申請する分野(音楽、演劇、舞踊、美術・映像、伝統芸能、複合)の公開活動を1回以上実施していること。自ら主催でなくても、依頼を受けた実績でも可能です。 - 都内での活動
都内で初めて公開活動を主催してから3年未満、または実績が5回以内(※0回でも可) - 居住要件と主催責任
東京都内に居住し、申請するプロジェクトの主催者として、必要経費の負担ができること。海外で事業を行う場合は、現地主催者からの招聘や同意があれば問題ありません。
団体の場合
- 活動実績と設立年数
過去3年間に、団体としての公開活動の実績が1回以上あること。団体設立から3年未満であることが求められます。 - メンバーの構成と組織体制
主たる構成員が芸術家やプロデューサー、企画制作者であり、団体の意思決定と運営が明確な体制にあること。さらに、本部事務所が東京都内に所在し、定款や会則でしっかりと組織運営が定められていることが必要です。 - その他要件
政治的・宗教的な活動目的がないこと、そして申請事業の主催者として団体の名義が広告媒体に記載されることも確認ポイントです。
対象となる事業・助成対象経費
【対象分野】は、
音楽、演劇、舞踊、美術・映像、伝統芸能、複合
【実施場所】は、
都内または海外
【申請する事業内容】は、
例えば
・都内での上演・コンサート、展示、上映、アートプロジェクトなどの芸術創造活動
・海外公演や展示、国際コラボレーション、国際フェスティバル、招聘公演・展示など (※都内だけで実施する国際的な芸術活動の場合は、海外団体や芸術家が主たる役割を担っている必要があります)
【助成対象経費】は、以下となります。
費目 |
細目 |
内容 |
作品制作費 |
作品借料 |
作品借料(保険加入が必須条件の場合のみ保険料を含む) |
美術・映像作品制作料 |
アーティストフィー、美術作品制作費(制作材料費含む)、映像作品制作費(撮影費、フィルム関係費、機材レンタル料、ロケーション費等含む) |
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出演料 |
演奏料、指揮料、ソリスト料、合唱料、俳優・舞踊家・後見等出演料等 |
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音楽料 |
作曲料、作調料、編曲料、作詞料、訳詞料、音楽制作費、副指揮料、調律料、稽古ピアニスト料、楽器借料、楽譜借料、写譜料、楽譜製作料等 |
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文芸料 |
演出料、構成料、監修料、振付料、舞台監督料、照明プラン料、音響プラン料、舞台美術・衣装デザイン料、映像製作費、演出等助手料、脚本料、翻訳料、プロデューサー料、キュレーターフィー、コーディネーター料、企画制作費、著作権使用料等 |
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舞台料 |
大道具費、小道具費、舞台スタッフ費、照明機材費・人件費、音響機材費・人件費、映像機材費・人件費、字幕費、オーディオガイド費、衣装製作費、装束料、床山・かつら費、メイク費、履物費、器材借料、オンライン配信費等 |
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謝金 |
講師謝金、翻訳謝金、通訳謝金、原稿執筆謝金、会場スタッフ謝金、会場整理員謝金、ガイドスタッフ謝金、監視員謝金、託児謝金、税理士・公認会計士謝金(当助成プログラムの会計報告費に限る)等 |
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会場費 |
会場料 |
会場使用料(付帯設備費を含む)、稽古場借料等 |
設営料 |
会場設計費(展覧会グラフィックス制作費、展覧会インストール費を含む)、会場設営・撤去費、設営スタッフ謝金、展示機材レンタル費等 |
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旅費運搬費 |
運搬料 |
道具運搬費、楽器運搬費、作品梱包・運搬費(保険加入が必須条件の場合のみ保険料を含む)、レンタカー費等 |
旅行料 |
渡航費(燃油特別付加運賃等含む)、交通費、宿泊費、日当(宿泊を伴う場合のみ)、ビザ(査証)取得経費(申請事業の実施に必要なもののみ)等 |
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広告宣伝記録費 |
通信料 |
案内状送付料等 |
宣伝料 |
広告宣伝費、入場券等販売手数料、立看板費、特設ウェブサイト開設費・デザイン費等 |
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印刷料 |
プログラム・パンフレット印刷費、台本印刷費、活動関係資料印刷費、入場券印刷費、チラシ印刷費、ポスター印刷費等 |
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記録料 |
録画費、録音費、写真費、アーカイブ製作費(有料頒布を行わない記録物の作成経費)等 |
一方、助成対象外経費としては、都外で実施される経費、有料頒布物の作成経費、特別料金の航空・列車運賃(ビジネスクラスやグリーン車など)、自己への報酬や事務所の維持管理費など、使途が明確でない経費は対象外となっています。
審査のポイントと申請金額について
審査では、以下の点が重視されます。
- 独自性・チャレンジ性
申請者のこれまでの活動を踏まえ、新たなアイデアや創作手法に取り組むチャレンジ性のある企画である。また、先行世代の芸術的達成や、今日の芸術創造の状況を考察し、申請者独自の発想やコンセプト、方法を実践する事業である。 - 具体性・明確性
事業内容、実施場所、出演者、プログラムが明確かどうか。 - 実現性
予算計画、資金計画、運営体制、進行スケジュールが適切か。 - 申請者・団体のポテンシャル
一定程度の経験、革新への意志と能力、今後の継続的な活動が期待できるか。
【助成申請額】は、
個人の場合は上限30万円、団体の場合は上限100万円以内となり、助成対象経費の範囲内で決定されます。
おわりに
助成金の申請には、芸術活動の魅力を伝えるだけではなく、それを実現するための事務的な面をしっかりと文章に落とし込む必要があります。
また、必要書類を集めて正確にデータを添付しなければなりません。
もし、本助成金の要件に該当しそうで興味がある方は是非ともお問い合わせくださいませ。
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